コミュニティ

この世でひとが遺せるもの

【この世でひとが遺せるもの】

一昨日、昨日と午前中、降りしきる雨の中、母と2人で初盆参りをする。

TAO塾で書道教室や料理教室をして頂いている北里洋子先生の旦那さんは昨年8月に旅立たれた。TAO食育菜園で自然農をし、国内外の青年達と共に汗し、夜は酒を飲み交わしたり将棋の相手をして下さった。仏壇に飾られた笑顔の遺影に合掌。

その後、卒業生の家、同級生の家、先輩の家、親戚の家•••20軒近くを回る。

遺族の方と想い出話をしていると、お一人お一人が私の人生、そして我が家の歴史にかけがえのない有難い存在であったことを感じ心から感謝。

そして、最後に一昨日急逝したTAO塾の卒業生のお葬式に参列。木材の運搬の仕事をしていた彼。荷下ろしの索道作業中に落下した大木が頚椎、頸動脈を直撃し即死したとのこと。

36歳という若さでの早すぎる旅立ち。新居を構え、赤ちゃんも生まれたばかり。前途揚々の未来を祝したばかりの時になんということか。家族の涙が痛々しい。

お葬式の後も、車中で彼との思い出の場面が走馬灯のように脳裏にいくつもいくつも映し出されていく。

彼が北米から南米へ旅をした冒険話を得意げに話してくれたシーン、のちに結婚することになる彼女とTAO塾で出会った時のシーン、論語の一節を元に天下国家を熱く語っているシーン、うちの息子達と遊んでくれたシーン、TAO塾にステイしていた外国人を車に乗せて町内を案内してくれた時のシーン•••思い出すのは彼の屈託のない明るい笑顔ばかり。

町の未来を担う逸材の死。涙が溢れて仕方なかった。

詩人•長田弘の言葉が思い出された。

“陽がかげってきて、世界が暗くなった。どこかで、木の枝の折れる音がした。言葉はとうに意味をもたなくなった•••微笑だけ。 ほかには無い。 この世でひとが遺せるものは。”

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