この世の構造

ビバ!田舎もん!無が有を生むエネルギー

以前、鹿児島の教育委員会主催で、青少年教育についての講演を依頼されたことがあった。TAO塾の教育に興味を持ってくれた担当者の方からの手紙にはこう書かれていた。

「なぜ、波多野さんは。TAO塾で教科学習と併せて、社会人講座と世界人講座というユニーク講座を精力的に数多く企画しているのですか?」

私は、返信の中に

「社会人講座は、生徒たちが自分の天命・天職に気づくヒントを得るために、自分がワクワクすることで自己実現している目やコトバに力がある輝く大人を会わせたいから。世界人講座は日本とは違う価値観や文化に触れることによって多角的な視野が持てるきっかけ作りに世界各国の人達と交流してほしいから。」

というようなことを書いたかと思う。

●社会人講座(様々な分野で活躍する社会人にインタビュー学習~これまでの職業名)

国連職員・路上生活者・蕎麦職人・自然農法家・OL・町長・町議会議員・医師・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士・臨床心理士・作業療法士・言語聴覚士・鍼灸師・柔道整復師・校長・僧侶・牧師・神主・弁護士・裁判所事務官・パイロット・キャビンアテンダント・映画監督・俳優・歌手・作曲家・朗読家・声優・ヘアデザイナー・国家公務員・地方公務員・国際青年協力隊員・会社社長・美術館館長・木工職人・陶芸家・ラジオパーソナリティ・ヘアメイクアーチスト・カメラマン・旅館経営者・音楽プロデューサー・NPO理事長・ハム職人・パン職人・ハーバリスト・エコロジスト・パフォーマー・DJ・大学教授・ホーストレーナー・童話作家・アナウンサー・英会話講師・詩人・インターナショナルスクール経営者ほか

●世界人講座(世界各国からのゲストを囲んで異文化学習~これまでのゲスト出身国)

イギリス・アイルランド・オランダ・オーストリア・ギリシア・チェコ・ユーゴスラビア・スペイン・ドイツ・フランス・スイス・ベルギー・ポーランド・スウェーデン・フィンランド・ナイジェリア・モロッコ・ケニア・南アフリカ共和国・インド・タイ・カンボジア・ベトナム・チベット・バングラディシュ・シンガポール・フィリピン・中国・台湾・韓国・カナダ・アメリカ・メキシコ・ペルー・ボリビア・パラグアイ・ウルグアイ・ブラジル・アルゼンチン・チリ・オーストラリア・ニュージーランドほか

しかし、鹿児島に向かう車の中であらためて「なぜ、自分はこんなにも社会人講座と世界人講座への熱意があるのか」のエネルギーの源を深く内省していたら観えてくるものがあった。

それは、自分は偉大なる「田舎もん」だったという気づきだった?!

子供の頃、阿蘇の山の田舎で見聞きしたのは、ごく僅かな仕事の種類だった。しかし、東京へ出てみると、聞いたこともない数多くの職業が存在し、それぞれの個性・持ち味を生かしてイキイキとクリエイティブに自己実現をしている人達が数多く存在していることを知った。

また、私が小学生・中学生の頃はまだALT(外国人指導助手)もいなく外国人と接する機会も全くなかった。しかし、海外へ出てみると、顔形も、言葉も、文化慣習も全く違う人達が沢山いて、衝突もするが感動もある、様々な価値観が存在することを知った。

しかし、ここで言いたいのは、田舎を出て、都会へ出ろ、海外へ出ろということではない。

それが、「当たり前」にある都会でなく、様々な職業や異文化体験のない田舎で生まれ育った私だったからこそ、人一倍大きな「有難い」感動があったということ。

満たされない恵まれない環境にあったことが、好奇心を膨らませ、熱意を養ってくれ、今も尽きないそのエネルギーが充満していると言うこと。

ああ、なんと嬉しいことだ。田舎もんであるということは!

努力するでなしに、熱意が勝手に生まれ、エネルギーが溢れ出てくるという妙味。

英語の「欲しい」を表す「want」という言葉の元々の意味は、「欠乏・不足」。

人生で遭遇する困難・試練・逆境に対し「難有り即ち有難し」というコトバがある。

「ありがたい」の反対語は「あたりまえ」なのかもしれない。

「恵まれていない」というのは、実は長いスパンで見れば、「恵まれている状態」なのかもしれない。