TAO的パラドックス思考

坂本龍一監修の本「非戦」のあとがき

高校時代に初めてYMOを聴いた時の衝撃は忘れはしない。何度も繰り返し聴いた。

大学時代に映画「戦場のメリークリスマス」を観たが、映画の内容よりもテーマ音楽に痺れた。

40代の頃、アメリカ時代の恩師•久司道夫先生と坂本龍一の雑誌対談を読んだ。

50代の頃、坂本龍一が「森作り協定」の関連で我が小国町の町有林を視察に来た。

そして、60歳の今、彼の死に際し、忌野清志郎とのコラボ曲「い・け・な・いルージュマジック」をシャウトした後、あらためて、彼が監修した本「非戦」(幻冬舎)を斜め読みする。

坂本龍一の「あとがき」は以下の文章でしめている。

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たとえ、異なる信条は持っていても、ここに集まった」sustainability for peace」のメンバーと「非戦」の筆者たちの、

「人を殺すな」
「生き物を自分の利益のために殺すな」
「子供たちの生きる権利を奪うな」

という思いだけは共有しているものと信じます。そして、『非戦』という希望が、人々の間に広がっていくことを願っています。(坂本龍一 2001年12月10日 ニューヨーク)
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坂本龍一の言う3つの戒律は少し注釈が必要に思う。

1番目の「人を殺すな」は、直接的、物理的に人を殺すということだけでなく、不用意な言葉で傷つけたり、無視することで痛みを与えたり、日々の買い物や貯金を通して、間接的に戦争に加担してしまいかねないことを深く自覚せよということ。

2番目の「生き物を自分の利益のために殺すな」は、まだ我が子孫を残しうる生きた植物や動物を殺し、空腹を満たす自分であること、彼らのいのちを断つことでしか、生きていけない存在であることを深く自覚せよということ。

3番目の「子供たちの生きる権利を奪うな」は、ハリール•ジブラーンの詩のように「あなたの子どもはあなたの子どもではない。それはいのちが待ち望んでいたいのちの息子であり娘なのだ。」ということを深く深く自覚よせということ。

•••かな?

教授の生声はもう聴けないが、「非戦」への道は、己の中深く居座る潜在的暴力性と、社会の見えない構造的暴力を広く深く洞察する「感性」を磨く歩みなのだろう。

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