TAO的パラドックス思考

百の姓を持つ百姓の百の声

学生時代に仲間達と「創造の広場」というKJ法、平和、原発、公害、食、出産、教育、身体ワーク、コミューン、農業など様々なテーマについて毎月語り合う勉強会をしていた。

講師に来てもらう人達を、先生と呼ばず、話題提供者として彼らを囲み、車座に座って話を聞き、忌憚なき意見交換。

議論する前には、互いに体ほぐしをしたり、同じ釜の飯を喰らう、裸のつきあいの交流をしていた。

その時の親友の一人が、全国の志高い農家に愛読される月刊誌「現代農業」ほか良書出版で知られる農文協の編集局長になって「波多野さん絶対観て!」と、年賀状に書き寄こした映画をようやく観れた。

しかも、小国町に地域おこし協力隊として移住して来た若き女性から以前熱心に勧められたものの、その時は宮古島出張中にて参加できなかった「千年の一滴だし しょうゆ」の柴田昌平監督の最新作と知り、日田市の映画館「レトルテ」のレイトショーに駆けつける!

まさに「百姓の百の声」のタイトルそのものの、心ある農を実践されている農家の土と汗が培った熱き声•声•声に感動。

コンパニオンプランツならぬコンパニオンインセクツ!
害虫対策に、天敵の虫を利用して大きな成果を出している人。

赤米、黒米、緑米、、、数えきれないほどの種類の在来種の稲を育てている人。

311原発事故で他県に移住するも福島の立入禁止区域にあったタラの芽を移植して新たな可能性を見出した人。

発酵を利用し、減農薬を実現、さらに「土ごと発酵」という概念で全国に新たな地平をひらく人。

最新データ農業と昔ながらの観察眼を組み合わせた「複眼」で理に適った栽培に取り組む人。

今や全国に広がる自家採取のタネの交換会の起点になる場をつくった人。などなど。

どこぞの巨大アグリビジネス企業のように、copy rightの所有を独占し奴隷化したりせずに、情報、農法、種を惜しみなくcopy leftし、共有する「百姓」の心意気とど根性。

それを、柴田昌平さんは宮本常一的なセンスで、個性光る”素”的な人達の歩みを作品として見事に編んでゆく。
彼と最初話した時にはピンと来なかったが、どうやら学生時代に一度会っているようだ。

そして、エンドロールに出た親友の名前。
「監修•百合田敬依子」に涙がこぼれた!

なんと素晴らしい仕事をしたのだろう。
若き日に共に笑い、汗し、歌い、涙した親友に乾杯!

私も一度「菊芋」の記事を5ページにわたって月刊「現代農業」に書かせてもらったことがあったが、ますます農文協が好きになりそうだ。

そして、百の姓を持つ「百姓」こそ我が国•日本の長き歴史が育て上げた究極の宝だとあらためて思い知った。
百姓国•日本!

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