コロナからのメッセージ　塵を払い、垢を除かん

今日のひとこと

掃除は心の浄化

コロナのお陰で断捨離の日々。

TAO塾に続いてTAOリトリートセンターの大掃除をした後、久しぶりの晴天だったので、布団や座布団などを天日に干す。太陽の光をいっぱいに吸った温かさが気持ちいい。

掃除といえば、「日々これ掃除」の鍵山秀三郎さんを思い出す。自動車用品チェーン「イエローハット」を創業された会長さんだ。武者小路実篤の「日々是好日」ではない「日々これ掃除」というから恐れ入る。

かつて、熊本市の自然食レストラン「ティア」の元岡健二社長さんに鍵山さんをご紹介頂きお会いしたことがあった。優しいお人柄が顔いっぱいに溢れ、物腰態度が実に謙虚な方だった。お礼の手紙を出したらすぐに返事が返ってきてさすが一流の人は違うなぁと感激。

その後、私の生まれ住む地元の小国高校で講演をして頂き、全校生徒でトイレ掃除の実習を行った。鍵山さんが書かれてた色紙は、今も小国高校、そして宿泊された黒川温泉・山河旅館に飾られている。

鍵山さんは講演でこう語られた。

「社員には一緒に掃除することを求めませんでした。特にトイレを徹底してきれいにすることに心を尽くしました。誰もが一番汚いと思うところをきれいにすることで、人の心も会社も全体がきれいになっていくという思いでございました。社員たちに洗車してもらうのに１５年、社屋や店舗の掃除を徹底するのに２０年。途中私自身が何度も投げ出したくなることもございましたが、その度に気を取り直して、やり続けて今日に至りました」

「まず隗より始めよ」を絵に描いたような人。言うは易く行うは難し！なかなかできないことだ。私には鍵山さんのようなことはできないが、せっかく掃除するなら楽しみたいとは思う。なにせT楽しくA明るくO面白くがTAO塾の真骨頂！（笑）

1993~94年、アメリカの学校でスタッフをしていた時、仲間達が「掃除をいやだな～いやだな～」と毎日愚痴っていた。海外では、掃除は「作業・職業」であり、掃除担当の清掃員がするものと理解している国が多い。日本のように生徒自らが掃除をするところの方が少ない。ましてや、「一に作務、二に勤行、三に学問」と、掃除を心の内面を磨く「行」と捉える禅寺の感覚や鍵山さんの実践哲学は想像しがたい世界だろう。

やる気のないスタッフ仲間を奮起させるべく、私は「お掃除大作戦」なる歌を作り、せっかくやるなら「楽しくやろうぜ！」と呼びかけることにした。世界各地から集まった仲間たちだったが、やはり掃除は清掃員がやるものだと思っている文化の国は多く、「口笛吹いて　ごみ集め　小唄を歌って靴並べ　ちりを払え！　心を磨け！」なんて言う歌詞にピンと来る人間は少なかった。しかし、しばらくすると「youは掃除を楽しむクレージーな男だ！」と興味を持って一緒に掃除を楽しむ友達ができていって面白かった。

やっぱり、伝えるよりも、伝わる世界が老子的！

シンガポールでも、2016年から日本や台湾に倣って生徒が清掃をするような政策が始まった。日本の衛生観念の高さも学校での「掃除」の習慣が根っこの１つになっているのかもしれない。

赤塚不二夫の漫画「天才バカボン」にレレレのおじさんと言うユニークなキャラクターがいる。