TAO的パラドックス思考

ウナギの生態学に学ぶ困難を糧にする人生訓

多くの魚が海で産卵し、稚魚が川に入り、上流をめざす。しかし、登るという能力において、ウナギは飛び抜けている。急流をさかのぼる遊泳力はないものの、長い体で石の間に入り、あるいは濡れた石の面を這うようにして上流へと移動する。

ウナギは滝を登る事もできると言われ、実際、日光中禅寺湖に生息するウナギは、華厳滝を遡って来たものと推定されている。

この躍動的なうなぎの生態により、うなぎが川をのぼるがごとき勢いで上昇していく様を「うなぎ上り」と呼ぶようになったと言われている。

稀代の自由人だった東洋医哲の探究者•桜沢如一はウナギのユニークな生態を見つめ、「困難を人生の糧」とする人生訓を次のような言葉で残している。

TAO塾の卒業生の高き志しを持った男子生徒がドイツに旅立つ時も、興味関心が広き女子生徒がアメリカに旅立つ時も、そして小中高フィールドホッケーで汗した私の長男がオーストラリアに旅立つ時も、この桜沢の「ウナギの無双原理」の本の一節を贈った。さて、次は君の番だ!

「流れが急になればなるほど、苦しみが多くなればなるほどウナギはのぼっているのです。

人間の立身出世もその通りでせう。位置が上がれば上がるほど仕事はせはしくなり、苦しみは大きくなり、責任は重くなります。

うっかりしていると人に蹴落とされたり、悪口を放送されたりするのは世の常のことであります。これがなかったら本当のウナギ上りではないのです。

世の中というものは小人、才子、悪人、愚人の妬み、嫉み、恨み、巧みの急流です。困難と厭迫と迫害と無理解の巨岩、怪石がゴロゴロ流れ落ちて来る激流です。

人間は生み落とされた日から、それを覚悟で人生の長い旅に出かけなくてはなりません。

それに耐えて奮闘力戦、『千万人と雖も我往かん』の気概を持って出発せなくてはいけません」    
       (桜澤如一 ウナギの無双原理)

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