「水俣•福岡展@福岡アジア美術館」に行く。私は、2017年に熊本市で初めて開催された「水俣病展@熊本県立美術館分館」に参加して以来の6年ぶり。
経済白書で「もはや戦後ではない」と書かれた同じ年の1956年、5月1日、チッソ付属病院院長は「今まで見た事もない患者」と報告。皮肉にもその日は水俣港が貿易港として指定された日だった。
排出されたメチル水銀は27トンで5億人分の殺傷力。
当時のチッソ側の発言には、「奇病よりも経営が大事」(社長)、「証明なければ事実なし」(工場長)、「希釈すれば無毒になる」(技術部長)という言葉もあった。
企業だけの責任ではない。原因を曖昧にした科学者、排水を黙認した通産省、漁獲を禁止しなかった厚生省、データを死蔵した熊本県、そして熊本大学の追及も力及ばす。
第2水俣病(阿賀野川)、第3水俣病(有明海)、第4水俣病(徳山湾)と拡大。
1968年、見舞いに来た厚生大臣に対し君が代を歌い天皇陛下万歳と叫んだ重傷患者の映像は痛々しかった。
熊本大学大学院の石原明子助教授が企画した水俣の語り部を特別講師に毎回3時間半に渡って学ぶシリーズでお会いした人達の顔、顔、顔が浮かぶ。
⚫︎ https://taojuku.xyz/杉本肇さん熊本大学院大学院紛争解決平和構築学/
⚫︎ https://taojuku.xyz/吉本哲郎さん熊本大学紛争解決平和構築学研究室/
⚫︎ https://taojuku.xyz/緒方正美さん熊本大学紛争解決平和構築学研究室/
⚫︎ https://taojuku.xyz/森枝敏朗さん熊本大学大学院紛争解決平和構築学/
夜は、俺のアニキとリスペクトする畑中隆治さんと合流して、水俣病の語り部、夏田美智子さんと一昨年「水俣 天地の祈り」(河出書房)を出版された作家•田口ランディさんの講演と対談に参加。
最前列、今年一月にお会いした水俣フォーラム代表の実川悠太さんの隣で話を聞かせてもらう。
兄と父の境遇を共にするお二人の話は、家族問題を通して「水俣病」の及ぼした深い闇をえぐる。
特に、お二人に大きな影響を与えた杉本栄子さんの話しには、心打たれた。そして、水俣展で用意された様々な展示で一際異彩を放つ水俣病で亡くなった人達の遺影を並べたブースで、夏田さんもランディさんも、それぞれ霊になった彼らに挨拶をしたという。その時、感じたという彼らのリアリティあふれる存在感の皮膚感覚についての議論も。
ランディさんとは、4年前、畑中のアニキの紹介で、会食させてもらい、講演も聞かせてもらったが前回に増して気合いが伝わる内容。
彼女の「語りは常に変化し更新していくもの。瘡蓋を剥ぎ、ヒリヒリするような生々しいリアリティを再現していきたい」という言葉が胸に刺さった。
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