TAO的パラドックス思考

脱常識を理解してくれた恩人の旅立ち

※2020/8/27執筆

TAO塾の書道&料理講師の北里洋子先生の旦那様の北里治一さんが旅立たれた。

数年前に癌が発見され、1年程前から大学病院などで闘病生活をされていたが、ご家族の願い、洋子先生の献身的な看病も虚しくついに永遠の眠りにつかれてしまった。

長らく産交バス小国営業所の所長さんとして、赤字路線ながらも「市民の足」として地域住民の生活に欠くことのできない公共交通機関を守られてこられた。

TAO塾に対しても、顧問として関わって頂き、何かの時はいつも相談にのってもらい、陰ながらサポートして頂いた。実直で寡黙な人だったが、好きなお酒を飲んだ時は、「僕の人生はごく常識的なものだったが、この腐った世の中を変えるには、波多野君達のような常識に捉われない見方や活動が必要なんだよ!まぁ、飲みなさい!」と酒を注いでくれながら、いつも大きな励ましを頂いていた。

東日本大震災の時は、治一さんの経営するアパートを東京等からの避難者に開放してもらい、住む場所と食べるものを無償で提供する活動を支えて頂いた。世の中、「口は出すけど金は出さない」という人が大半の中、治一さんは正反対の人だった。TAOリトリートセンターの建築では、自らが設計デザインしてくれ、経済面でのバックアップでTAO塾の活動を支えて頂いた。

TAO塾に農業体験に来る中学生と昼は共に汗をかき、夜は将棋の相手をして下さった。また、世界各国からTAO塾にワークスタディステイに来る沢山の青年達にも、酒を酌み交わしながら「日本の素晴らしさ」を話してくれた。

オルタナティブな教育は、これまでの既成概念、社会通念とは違い、「常識」を超えた見方•考え方を実践していくクリエイティブな道でもあり、時には、助けを必要とする人に手を差し伸べても、その手を噛まれることもある根気よく歩まねばならぬイバラの道でもある。

治一さんという世の中の道理をわきまえた健全なる常識人が、TAO塾という、新しい時代の価値観を創ろうとするオルタナティブな活動を深く理解してくれ、温かく見守ってくれたことに心から感謝してやまない。

TAO塾に次代の先駆者である「変わり者」が来る度に、治一さん、洋子先生ご夫妻が温かく迎え入れてくれて、一緒に乾杯した日がいくつもいくつも想い出される。酒を愛し、農を愛した治一さんのご冥福を心よりお祈りします。

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