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コロナからのメッセージ 多様性と動的平衡

今日のひとこと

万物流転 諸行無常

新型コロナに対する専門家や識者と呼ばれる人たちの見方も色々。中には浅学非才の私でも首を傾げたくなるような論説もある。

最近目にした新聞記事では、「バカの壁」で知られる解剖学者の養老孟司東大名誉教授と、「生物と無生物のあいだ」で知られる分子生物学者の福岡伸一青山学院大学教授の言葉が一番ピンと来た。

「そもそも生物が色々あることを、多様性の一言ですますのがおかしいし、人間には都合がよくない新型コロナも多様性の一つ。登場してしまったからには、共存するしかない。だって自分の一部ですから。」(養老孟司)

「ウイルスは私たち生命の不可避的な一部であるがゆえに、それを根絶したり撲滅したりすることはできない。私たちはこれまでも、これからもウイルスを受け入れ、共に動的平衡を生きていくしかない。」(福岡伸一)

福岡伸一は、生命を様々な部品が集まってできている精巧な機械とみる「機械論的生命観」ではなく、食べ物に含まれる分子が身体の構成成分となり、次の瞬間には身体の外に抜け出すことを見いだし、その分子の流れこそが「生きている」ことだと考えた1930年代後半にドイツからアメリカに亡命したユダヤ人の生物学者ルドルフ・シェーンハイマーの概念「動的状態」を拡張し、生命の定義に「動的平衡」という言葉を使った。私たちは、絶え間ない分子の流れに身を置いている。世界に「部分」はなく、地球生命38億年の生命現象はたえまのない流れであり、すべてはつながりあっていて、その秩序は相補性により保たれている・・・つまり

「生命は機械ではない、生命は流れだ」と

養老孟司と福岡伸一両者のコロナコラムは、万物流転、諸行無常、有為転変の「易」の世界観

方丈記の「ゆく川の流れは絶えずして、 しかももとの水にあらず」はまさに「動的平衡」の世界を端的に表した見事な文学的表現だ。

変わらないために変わり続けている・・・

生命にとって作ることより壊すことが大事で、自ら壊し作り直すことで38億年永らえたと言えるようだ。

福岡伸一は、「汝は汝が食べたもの」や「できるだけ自分より遠いものを食べよ」と言った昔からの言い伝えにも合理性があるという。

「遠いというのは、種として人間により近くないものを食べるとこと。つまり、動物よりも魚、魚よりも植物というふうに。それはなぜかというと、1つは種が近いとやぱりそこに潜んでいるものが食べ物を通して私たちに乗り移ってくる可能性があるからです。種が近いと、同じウイルスや同じ病原体にかかりやすいわけです。狂牛病とか、いろんな動物と人間に共通してかかる病原体がありますよね。それは、種が近いから、簡単に侵入してきて簡単に増殖できるわけです。植物の中にも植物の病原体がたくさんいるわけですが、それは人間にとってはあまりにも種が遠いので、そういうものが仮に一緒にやってきても、人間の体内では増殖することはできないし、人間の細胞の中にも入ってくることはできない。病気への予防ということを考えると、できるだけ遠いものを食べたほうが安全だという、その考えも成り立つかなと思います。」(福岡伸一)

「病因環境説」のペッテン・コーフェルと同じく「動的状態説」のルドルフ・シェーンハイマーもまたその最期は自殺。歴史の表舞台から消えた無名有力の2人のメッセージとは・・・

  • 生命は機械ではない、生命は流れだ
  • 対立意見を意図的につくるべきだ
  • 汝は汝が食べたもの
  • できるだけ自分より遠いものを食べよ