祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂にはほろびぬ、
偏ひとへに風の前の塵におなじ。
•••という冒頭部分で知られる平家物語。
栄華を誇った平家一門の滅びゆく姿を、朝咲いては夜には儚くも散る清楚な美しさを誇る白い沙羅の花に比喩した名文。
「諸行無常」•••この世の全ては常に移り変わり、永久不変のものはない。
「盛者必衰」•••勢いが盛んな者もいつかは必ず衰え、滅んでいくもの。
どちらも今から約2500年前のインドで誕生した仏教の基本的考えであり、東洋医哲の生命観、世界観。
昼間、アウトドアサウナで賑わうTAOリトリートも、夜は真っ暗な闇の中を、美しき黄色い光を点滅させながら蛍が舞う。
小国町にもゆかりのある俳人高浜虚子も、蛍をテーマにしたこんな素敵な俳句を詠んでいる。
「蛍火の 今宵の闇の 美しき」
命短い蛍の光の美しさと漆黒の闇の対比が胸を打つ。
今年3月、1952年の高浜虚子の小国来町のきっかけをつくられた地元小国の俳人•穴井(旧姓・笹原)利惠さんが旅立たれた。享年99歳。
百から一を引くと「白」となることから99歳のこもを「白寿」という。天寿を全うされた人生において数々の作品を創作された。
明日は縄文の聖地「押戸石」にある笹原耕春先生の句碑を案内しよう。
「夜草喰む 馬に銀河の うちしぶき」
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