毎年、2月14日が来ると様々な思いが去来する。
“朝焼け小焼けだ大漁だ オオバいわしの大漁だ
浜は祭りのようだけど 海の中では何万の
いわしの弔いするだろう”
ここでは、2月14日が、10月31日や12月24日と同様、日本人の舶来礼讃とマーケティング戦略によって作られた信心なき”お祭り”。義理チョコ、忖度チョコの問題ばかりではない。
世界最低水準の「添加物だらけのチョコ」、祭りの後の「フードロス」の問題、さらには生産過程における「児童虐待」はじめ発展途上国の人々の人権や環境を犠牲の上になりたっている事実が隠されているなどについては、金子みすゞの「大漁」の詩を読むだけにとどめ、2月14日の今日は毒づくのはやめておこう。
「陰」ばかりでなく、日本人が世界各国の様々な文化を柔らかく受け入れ、独自のアレンジを加え吸収発展させていく「光」の感性を持っているが故のことも多くあるのだ。そこに、ささやかな「愛の物語」もまたどこかで生まれているという側面もあることも見落としてはならない。
七五調・五七調のリズムの好きな私は、生徒達に授業の前に「5-7-5トピックス」と称して、最近の心境を川柳形式に五七五でまとめ発表しあう時間を取ることがある。毎年2月14日には、バレンタインデーをテーマにしたものを作る生徒が多い。
かつてTAO塾の男子生徒の一人が
「バレンタイン 今年も虚しく 過ぎてゆく」
と作り、爆笑したことがあったが、今頃どうしているだろう。もしかすると、チョコレートを沢山もらうモテ男に変身しているのかもしれない。義理チョコのお返しに頭を抱えている会社の上司になっているかも。
「バレンタイン 本命チョコは あの人に」
と詠う女子学生もいた。心に秘めていた恋心を、手作りのチョコレートに託してドキドキしながら手渡したという。きっと、今頃、素敵なパートナーを見つけて、可愛い子供たちの世話をしていることだろう。
しかし、私にとっての2月14日は別の意味で特別な日だ。
今は亡き祖母の誕生日。ばあちゃん子だった私は、いつか大きくなってお金を稼げるようになったら、ばあちゃんの誕生日に美味しい御馳走を食べさせるのが夢だった。しかし、今はかなわぬ夢。
祖母は、小学校しか出ていない無学の人だった。見た目はお世辞にも素敵なベッピンさんではなかったけれど、虚飾のないゼッピン笑顔の”素”的な人だった。
今日は、2月14日、祖母の誕生日。
詩人ナナオ•サカキが小国に来てくれた時に、読んでくれた詩を青空の向こうに贈ろう!
ヴァレンタインズ デイ (ナナオ・サカキ)
身分を気にせず
個性を売らず
優雅をてらわず
謎めくこともない
だから
好きさ
君が
Valentine’s Day
You have no touch of class,
no touch of uniqueness,
no touch of elegance,
no touch of mystery…
I love you !
[box06 title=”TAO塾リンク“]
●TAO塾メルアド taojuku@me.com [/box06]