紛争解決平和構築学の学びを進めていくと、世にある紛争の根源は、「正義 VS悪」ではなく「正義VS正義」であることを深く認識していく。
己の「ものさし」での価値観の「正しさ」を押し付けていく時に、様々な諍いが生じてくるのだ。
吉野弘さんの「祝婚歌」の詩にも
「正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと気づいているほうがいい」
かつて、循環型社会の先進地であるオーストラリアのマレーニという町を取材に行ったことがあった。
オーストラリア・クイーンズランド州の州都ブリスベンからバスで約1時間半、観光地として有名なサンシャインコーストには車で30分~1時間で行ける山間の町だ。
ちなみに、マレーニの隣町のモントビルは「世界の最後の楽園」としてニューズウィークでも取り上げられたとても美しい町である。
美しい自然環境の中で、コープ(協同組合)が発達し、ここのコミュニティバンクや地域通貨、エコビレッジといった「互助的なコミュニティ」について取材し雑誌記事に書いた。
そのマレーニの町で、その後家族ぐるみの付き合いになるデジャーデンゆかりと、「マレー二の母」と呼ばれたジル・ジョーダンと出会う。
彼らとの出会いの数年後、熊本大学医学部で2人の講演会を企画することになった。
その中で、ジルが何事も論理的、倫理的に正しいと思えることでも、そうではない相手を頭ごなしに否定、攻撃する姿勢では決してうまくいかない。
そのまま、ありのままの彼らを受け止め、彼らとの丁寧なやりとりのプロセスを蓄積していくことが「変容」に繋がるというような話をしてくれた。
様々な知識や経験の中で、自分の中で構築された「正しさ」を時に疑い、時に棚上げできる「遊び」を持って、ありのままの現実を受け入れていくこと。
自分の信じる道が「盲信」状態であれば、傲慢な排他性を生む。私の出会ったこだわりつつも、とらわれない、柔らかな「確信」を持つ自遊人はいつも遊び心と謙虚さを併せ持っている。
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