「波多野さんの背中を流させて下さい」
昨日、ある青年がTAO塾を訪ねて来て、ひとしきりこれまでの人生の歩みを聴かせてもらった後に、温泉に連れて行ったのだが•••
「私の母校の大先輩になる作家の安部龍太郎さんの徳川家康の本に背中を流すシーンがあって一度やってみたかったのです」と言う。
なんと戦国武将の心意気か!
久しぶりにそんなことを言う若者に出会って感動。
背中を流してもらいながら、信州諏訪の学育塾の恩師•堀田俊夫さんと温泉に行った2つの思い出がよみがえる。
一つ目が、34年前、私が大学を卒業した後、働くことになった学育塾を両親が訪ねて来た時に行った諏訪の温泉。堀田さんが父の背中を流してくれたシーン。
後日、父からもらった手紙には「母校小国中で教育実習をあんなに楽しくやり終えたから、きっと学校教師を目指すのだろうと思っていたが、お前が堀田先生の下で学び、そこで働きたいとあれほど情熱的に思った気持ちがわかった。お前の尊敬する堀田さんに背中を流してもらうとは本当に驚きだった。安心して息子を任せますと手紙をさしあげたよ」と書いてあった。
二つ目が、18年前、ささやかな御恩返しに堀田さんご夫妻を私の生まれ住む故郷•阿蘇小国郷に招待させてもらった時に入った温泉。まだ4歳だった私の長男が小さな体で一生懸命、堀田さんの背中を流したシーン。
かつて親父の背中を流してくれた堀田さんの背中を、今度はせがれが流しているという光景は胸がじーんと熱くなる感慨深いものだった。
青年に堀田さんとの2つの思い出話をシェアした後、堀田さん直伝の「礼」に始まり「礼」に終わる「氣」を入れた背中流しの術を伝授。
もしかしたら、「こんな青年がまだ日本にいたのか」と、草葉の陰で、同い歳だった父も恩師も喜んでくれているのかも知れない。
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