【ほめてこそ、人は育つ】
「地元の小国高校には子どもを行かせたくない」という声をよく聞く。もちろん、子どもの強い意志があれば熊本市内の学校に行くのもいい。TAO塾を卒業後、熊本市内の済々黌に進み、現在熊本大学薬学部に通っているH君は市内に出ることで実力を伸ばした。
熊本の学校に限る必要もない。福岡の久留米大附設に進んだA君は、京都大学理学部に進学し、大いに勉学に励んでいる。
さらに、国際化の時代である。海外の学校も視野に入れてもいいだろう。スイスの高校に行ったK君は今春六本木ヒルズにあるITベンチャーに就職が決まった。
現在、短期留学を含めればTAO塾卒業生の15人が海外留学を体験している。狭い日本を飛び出し、海外生活を経験することで視野はぐ〜んと拡がる。世間体ばかりを気にする日本の島国根性を打破し、様々な価値観を知り、世界の潮流を肌で感じて新しい時代を切り開いていって欲しい。
しかしである。小国に蔓延する「地元高校蔑視観」にはいささか問題を感じている。勿論、通学している小国高校生達にさらなる奮起を促したい思いはある。しかし、ここでは、彼らを見守る我々地元の大人達の言動に目を向けたいのだ。
人間というものは、駄目だ!駄目だ!と言われると本当に駄目な人間になっていく。人それぞれ、いいところがある。いいところを探してほめてあげることで少しずつ自信もついていく。
TAO塾で小国高校に通った生徒達の中にも、国立大学や県立大学に進学した子達はいる。今春、熊本学園大学経済学部を首席で卒業し、その優秀な成績に対し、大学創始者の名を冠した「高橋賞」をもらったB君も実は小国高校卒業生だ。
彼は、大学4年間を全て学費免除にした親孝行ものである。今の在学生の中にも、家庭の経済的なことも考えて、小国高校の国公立推薦枠を取るために頑張っている子もいる。
さらに言えば、今の時代、大学進学が決していい選択とはかぎらない。小国高校卒業後、ドイツに留学したS君は、現在パン作りのマイスター取得のために朝1時から起きて修行をしている。
何も会社に就職するだけが人生ではない。手に職をつけるという選択であってもいいのだ。それぞれの個性や持ち味を活かし、天分を見つけ出し、自分にあったオンリーワンの道を歩んでいってほしい。
ドロシー・ロー・ノルトの「子は親の鏡」という詩を共に噛み締めたい。地元の高校は地元の大きな財産である。私達皆が愛情を持って見守って行く事でこそ伸びるのだ。
『子は親の鏡』ドロシー・ロー・ノルト
けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる
子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
広い心で接すれば、キレる子にはならない
誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
和気あいあいとした家庭で育てば、
子どもは、この世の中はいい所だと思えるようになる
(TAO通信第32号 巻頭言より)
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