TAO的パラドックス思考

アンフェアで残酷な世界に生きている自覚

一昨年亡くなった朋友•二見孝一のご縁で出会った岡田行雄熊本大学教授がFBで紹介してくれた言葉が胸に刺さった。

今年の熊大法学部の卒部式において、学部長祝辞で引用された九段理江さんの芥川賞受賞作「東京都同情塔」の一節。

「私やあなたがこれまで『犯罪者』にならずに済んでいるのは、私やあなたが素晴らしい人格を持って生まれてきたからではありません。あなたの生まれた場所がたまたま、素晴らしい人格を育むことが可能な環境だったからです。犯罪と関わりを持たずとも幸福な人生を歩むことができると、信じさせてくれる大人が周囲にいたからです。あなたが良いことをしたり、学校で良い成績をとったりするのを、大人たちが褒め、推奨してくれたからです。・・・あなたがこれまで罪を犯さず、クリーンに生きてこられたのは、あなたの幸福な特権のおかげに他なりません。(原文改行)しかし、あなたはご存じないかもしれませんが、世の中には特権を持たずに生まれてくる人がたくさんいます。良いことをしても誰からも褒められず、むしろ、生まれてきたことを否定されながら大人になる人々がいるのです。・・・(原文改行)そんな彼らとあなたが、同じ世界の、同じ法律/ルールのもとで、同じHomo(人間)として生きていかなければならないというのは、あまりにもアンフェアで、残酷な仕打ちではないでしょうか?」

紛争解決平和構築学のメディエーションの学びで、「人ごと」を「我がごと」にしていくアーノルド•ミンデルのロールプレイワークショップを思い出し、しばし胸が熱くなる。

その後、付随して回想したこと•••

5年ほど前に、雑誌「ソトコト」だったかと思うが、金沢で古本屋を営む山崎有邦さんの特集記事で「思想の種を受け取り、誰かに渡す役目」という言葉と、彼の古本屋の名前「オヨヨ書林」に興味を持ち、オンラインで本を注文。能登地震への支援物資を送るエネルギーの一つにもなっていた。

前述の芥川賞作家の九段理江さんも、かつて「オヨヨ書林」でバイトをしていたと聴く。

50年前、私が小学5,6年の頃、友人達と夢中になって読んだ「オヨヨ島の冒険」、「合言葉はオヨヨ」「オヨヨ城の秘密」などの小林信彦の痛快小説「オヨヨ大統領シリーズ」。

驚く時も、嬉しい時も、悲しむ時も「オヨヨ〜」と能天気にふざけたものだが、それもまた恵まれた環境のなせるものだったのだろう〜阿蘇の豊かな自然と、平凡だけれど温かい家庭に恵まれた山猿にとっては、この世が底知れぬ残酷さと不公平に満ちた理不尽なる世界であることも知らずに•••

小学時代にハマった小林信彦と、大学時代にハマった小津安二郎、2人の誕生日が同じなのも不思議な気がする。
一昨年は、蓼科の「小津安二郎記念館」に運ばれ、暖かい囲炉裏談義を愉しんだが、いつの日か、「オヨヨ書林」の居心地の良い古本空間も味わえるシナリオになっているのだろうか?

NHK少年ドラマシリーズの「怪人オヨヨ」は観れるのかな?

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