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子ども食堂〜嬉しい笑顔と心の葛藤

昨日、3月、4月とコロナ自粛だった「子ども食堂」がテイクアウトのお弁当配布ということで復活! お弁当を受け取る子供達の笑顔が沢山見れて、ほんと嬉しかった。

朝早くから、町のお母さんたちが集まって来てくれ、お弁当作りを始めた。小国町の食改(食生活改善推進委員会)のメンバーの皆さん。リーダーは私の父の元同僚で私が小さい子どもだった時からお世話になってるWさん。2ヶ月ぶりということで、お母さんたちも皆いつもに増して気合が入っている様子。30人分の手作りおふくろ弁当を心を込めて作る!

町の栄養士さんは、私の次男の同級生のお母さん。様々なところからの寄付をテキパキと仕分けしていく。 熊本県内の子ども食堂のネットワーク「TSUDOU-NET熊本」から「トヨタレンタリース」さんや、様々な匿名の方々からのお米、水、保存食のリゾット、乾パン、ビスケットが届く。 また、熊本市内の子ども食堂仲間の一般社団法人「こどもキッチンブルービー」さんからも、「お菓子の香梅」「美十」など企業からのお菓子や玉ねぎなども。 今回、町内有志の方々からの寄付だけでなく、町外のNPOや企業からの支援があったことが、さらに小国の子ども食堂のメンバーを活気づけたように感じる。心より感謝!

これまでも、寄付の話は頂いていたものの、熊本市から大観峰を越える阿蘇小国町へは流石に遠距離。運ぶ手間と時間がかかりなかなか難しい。 今回は、熊本市内の子ども食堂に関わっているTAO塾の卒業生のK君がトランスポーターとして運んでくれ実現できた。大学に社会人入学し社会福祉の勉強をした志高い実践力に満ちた男!

今回、子ども食堂再開にあたっては、町長からの指示で役場福祉課の職員もミーティングに参加してくれた。なんと参加した2人ともTAO塾の卒業生でびっくり。会議の中、2人がホッケーに熱中していた頃の面影を思い出しながらも、立派な公僕精神が培われているのが垣間見えて嬉しかった。 当日も2人とも参加してくれ、私の中学時代の一級先輩になる福祉課長も顔を出してくれた。

3年前、私の中学時代の同級生と一緒になんとか行政と民間のコラボで子ども食堂を立ち上げようと、役場の福祉課、住民課、教育委員会の課長なども集まって頂き検討会議を重ねた。 小国町では、全国でも珍しい行政、社協、食改、民間NPOのコラボで運営されている。また、町内の心ある生協さんや旅館さんからの食材や加工品を提供して頂いたり、農家の方々からの野菜の提供もほんと有難い。 子ども食堂の参加費は、子供は高校生まで無料、大人は200円の材料費のカンパを頂いている。

農林業その他助成金、補助金漬けで自力意識が薄れている活動の多い昨今、行政等に頼ることなく、小さいながらも、食材の寄付と大人の参加者から食材費カンパで運営していこうとこれまで2年間ささやかなる活動してきた。 今回、コロナ禍によるstay homeの中、子どもたちの学校が休みとなり自宅にいることになり、特にひとり親の家庭はかなりの困難を味わっている。子供の世話のために仕事も休まざるをえなくなった人は全国に多数発生した。

河北新報 「子ども食堂」限界 宮城県内90カ所ニーズ増・人員確保できず

●NHK 子育て家庭」と「飲食店」両方助かる弁当支援 新型コロナ

熊日新聞子ども食堂に支援を 県内運営者、食材や資金確保に悩み

千葉日報「おうち給食」届けます 休校児童に弁当配布 南房総市が独自支援

●NHK  新型コロナで困窮 ひとり親世帯に弁当提供 埼玉 吉川

 

そんな中、友人の藤井宥貴子さんが代表をしている熊本県ひとり親福祉協議会が、先月新型コロナウイルスの影響で生活に困る1000世帯近くのひとり親世帯を対象に食料品の無償提供を始めた。 ひとり親の方々から「子どもの昼食代が家計の負担」との相談が多く寄せられ、緊急支援として食料品の配布を決め、県内企業や地元生産者に協力を呼び掛けたところ、個人からの寄付金や物資の提供もあったという。先日、藤井さん、くまもと未来創造基金の宮原美智子さん、そして子ども食堂仲間で「嘉島だんだん食堂」を主宰されている穴井智子さんと4人でZOOM会議をして現状報告シェアにしたが、コロナの影響が特に大きいのがひとり親家庭だとの認識を深めた。人口6700人ほどの小さな我が小国町も今や1人親世帯そして両親ともにいない家庭を含めて70を超えている。

子ども食堂をしていての心の葛藤は大きい。貧困家庭の救出という部分だけがクローズアップされると、子どもたちが気兼ねしたり、差別感情や、優遇施策だとの妬み感情が起こらないように、地域の拠り所として、貧困家庭に関わらず子供からお年寄りまで誰もが集まり食卓を囲む「地域食堂」を目指し、貧困問題を強調するのではなく、何より美味しい楽しい、気楽な「居場所」としての温かいコミュニティづくりを心がけてきた。

しかし、本当に困っている人たちに十分に手が届いているかどうかは未だに疑問。個人情報の観点や、困窮者の心理などを鑑みて時間をかけてゆっくり少しずつ積み上げていくしかない実情。なんとも、忸怩たる心境が続く。 今回のテイクアウト子ども食堂では、家庭の実情を問うアンケートも実施したが、質問項目の設定が不味かったのか十分なものとは言えないものだった。これまで、丁寧に子どもたちとの自然な会話や遊びや学習の時間を大切にしながら、少しずつ少しずつ状況を把握していくのを蓄積して、柔らかな着地点を見出していきたいと思ってやっているのだが、甚だ時間がかかる取り組み・・・・

日本は、行政-企業-NPOの三位一体の協働が生まれにくい歴史と構造があるが、行政-企業-NPOのそれぞれが持つ長所と短所を補い有機的な連携を生み出していく道を探りたいものだ。 今回のコロナのお陰で、辛い人が辛い気持ちを言いやすい、そして聴きやすい状態であるのは、ある意味でチャンス。これから、失業や倒産も続いていくことだろう。国の借金1110兆7807億円、国民1人当たりの借金は約896万円などというペテンに騙されず、意味のあるお金を迅速に回していく必要が迫られている。健全な自力精神は大事なことだが、適切な相互扶助の関係になる道を探られねばならない。

紛争解決学でいう「弱者に光を!ではなく弱者こそ光!」という言葉を噛みしめながら、どんな人でも「生きているだけで百点満点の価値がある」という世界への小さな歩みを進めていきたい!