弱者に光、弱者こそ光
週一回、支援学校に通う生徒達への授業。
毎回、最近あったトピックスを交換し合う時間を取るのだが、今年卒業を迎えたA君の後輩への熱い思いの発露で男子生徒達が涙ぐむ思いがけない時間になった。
●自分を友達を大切にする以上に自分を大切にね
●一度信頼が崩れると、それを取り返すのには時間かかるよ
●辛いことがあっても皆で支え合っていけば乗り越えられるよ・・・
いつもは、おふざけ話の多い彼のマジ話に後輩たちが目に涙を浮かべ始めた。後輩一人一人とのエピソードを話しながら、人生訓のような話を彼がし始めるのには私もびっくりだった。さらに驚いたのは後輩達の彼への言葉。
●A君が言うように友達との時間を大切思うならキレてる場合じゃないね
●A君のいつもふざけて笑わせてくれる性格なのに、少し真面目なところがいい
●A君とぶつかり合ったことで、思い出がいっぱいあることに気づいた
●A君は激しい喧嘩をした時にいつもなりふりかまわず間に入って止めてくれた
●A君はいつも辛い状況の人の表情や態度を見て声をかけてくれる人だった
●A君はお菓子とか独り占めせずに、いつも皆で分け合って一緒に食べてた
●A君は悲しみや寂しさや悔しさやムカつく気持ちに寄り添ってくれる人だった
●障害者をバカにする人たちは多いけど、僕はA君のような人を人間として尊敬する
A君の素晴らしさを見抜いている彼らの言葉の数々に、私は途中から思わずメモを取り始めた。後輩の彼らの中にも、A君と同じ価値観があるからこそ心響くに違いない
知的障害や、自閉症・アスペルガー・ADHDなど発達障害を持つと言われる生徒達だが、彼らのやり取りを聞いていると、健常者と呼ばれる者達の方が、勝ち負け感にとらわれ、人間としてのマトモな感性を擦り減らし疲弊しているのがよくわかる。
まさに、紛争解決平和構築学で言う「弱者に光をではなく、弱者こそ光」が真実。
時に弱者と呼ばれる彼らの純真な魂こそが、人間の傲慢さを知らしめてくれる役割なのかもしれない。
以前、福祉系シンポジウムでパネリストをご一緒させて頂いた細川佳代子さんの言葉を思い出した。
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細川佳代子さんから聞いた話
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- どんなに医学が進歩しても人間が生まれ続ける限り人口の2%前後の知的障害のある子が生まれる。それはその子の周りの人に、優しさや思いやりという人間にとって最も大切な心を教えるために神様が私たちに与えて下さった贈り物だから。
- 彼らは能力や可能性をいっぱい持って生まれてきているが、自分の力でそれ を伝えたり発揮することが不自由だ。家族や周囲の人達がその不自由さを理解し支援してあげれば社会の一員として普通に生きていくことができる。その子の幸・不幸は周囲の人の理解とサポート次第である。
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