TAO的パラドックス思考

思い切りバカを一緒にやりきった朋友

※2021/2/10 執筆

今から40年近く前の学生時代、コミューン運動に興味があった私は、東京は目白の一軒家を友人達と借り切り、ジョンレノンのイマジンにある「Imagine no possessions〜想像してごらん。所有なんてないのさ」を地で行く「無所有一体生活」なる実験的共同生活を数年間していた。

今で言うシェアハウスのようなものだが、今ドキのドライでオシャレなそれとは真反対の野暮ったい、日々馬鹿げたことをやり、夜な夜な酒を飲み交わし、天下国家を論じ合い、フォークソングを歌い明かすウェットなものだった。

そんなある日、仲の良かった東京藝大に通う岩田隆君と2人で「自分たちの心の殻を破る旅」に出かけることを思いつく。とあるイベントの呼びかけをかねた北は北海道大学から南は信州大学まで様々な大学を訪ね歩き交流する2週間の青春旅。

しかも真冬2月の車旅。途中路面凍結でスリップし、車が3回転し降り積もった雪の道路脇に突っ込んだことも。不幸中の幸い、大雪の直後だったことで雪の壁が厚く大事故に至らず急死に一生を得たが今思い出しても冷や汗もの。

そんなハプニングだらけの旅だったが、隆と「この旅では、まぁいいやなしで、その時その時に自分たちがやりたいと思った事は何でもやろう!馬鹿になりきろう!」と約束しあって旅に出た。

「隆!あそこで歌おうぜ」と仙台のスクランブル交差点のど真ん中でギター掻き鳴らし歌ったり、「波多野!あの可愛い子に声かけようぜ」とナンパ野郎の口説きバリに思いの丈をイキナリ正直に伝えたり•••。

日々、ふと思いついたことを即実行するバカをやり続けると時には思いもかけない展開も起こった。

山形大学の学生と仲良くなって一泊100円の寮に泊めてもらい宴会を大いに愉しんだはいいが、飲み過ぎた酔っ払いの馬鹿野郎が何を思ったかゲバ棒とヘルメットというかつての学園紛争姿に変身して、消火器を振り回して寮中真っ白に!流石に身の危険を感じて夜中に抜き足差し足忍び足の大脱走。

青森では夕食を食べていた食堂で歌いたくなり「僕たち、シンガーソングライターです。一曲聞いてもらえますか?」とハッタリかましてお客さん達を前に歌うと「明日、時間あったら遊びにおいで」と老紳士が名刺を渡してくれた。

翌朝、訪ねてみると立派な邸宅で人生訓を聞かせてもらいながらご馳走を頂く展開に•••••旅の途中の不思議でオモロいエピソードは枚挙にいとまがない。

最終訪問の信州大での交流を終えたボクらは、隆の故郷の諏訪へ向かった。そこで、隆が紹介してくれたのが、のちに私の人生の師匠となる学育塾の堀田俊夫さんだった。まさかそんな未来が待っていようとは思いもしなかったが•••。

2週間以上、殻を破り続ける旅をして、かなりイッちゃっていた私達は「今のボクらの心境を歌にしました。ぜひ聞いてください」と、お構えなしにまたまた歌い出す始末。

堀田さんは「そうか、そうか、遠慮はいらん。聴かせてくれ」と言ってくれたが、思い出せば既に夜更け。翌日、奥さんや近所の人達に頭を下げている師匠の姿が目に浮かぶようで今更ながら恐縮してしまう。

時は流れ、今や日本美術院展覧会(院展)で何度も入選する一流の画家となった隆。6年前には我が家に5日間ステイし、阿蘇の自然や杖立温泉、TAO retreat & cafeや母の肖像画などを描いてくれ、福岡の私の講演会にも特別出演してもらった。

翌年、彼が暮らすコミュニティで私の講演を主催してくれた際には、講演会場に「熊本•阿蘇の旅スケッチ」なるミニ展示会を同時企画。地震、大雨、酷暑、台風、噴火、火事、、、と災難続きの我が故郷を励ましてもらった。

そんな彼が、数年前から左手の指先に力が入らなくなり、不審に思って受けた検査の診断は、なんと体中の筋肉を自由に動かせなくなる難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)。私と同じく離婚も経験し、様々な葛藤を味わってきた親友を、一緒にドライブした阿蘇の景色の中に思い出してイキナリ電話してみたりする。

結局、相変わらずにバカ話に終わるのだが、ふと口ずさみたくなるのは、あの「戦争を知らない子どもたち」で知られる杉田二郎の「男どうし」というかつて一緒によく歌っていた曲だ。

そう言えば、昔、彼の故郷そして私の第二の故郷でもある諏訪から車で九州•阿蘇の我が家まで突然遊びに来て、急遽私の従兄弟や同級生達を呼んで、BBQをやってこれまたギターで歌いまくったこともあったなぁ〜Time flies!

“バカがつくほどに正直すぎる君だから♬
ふるさとに帰ったら俺に任せておくれ♬
昔ならいつでも愉快な仲間達が
すぐにやって来ただろう♬
昔のように話し明かそうよ♬

作詞:北山修 作曲:杉田二郎「男どおし」

思い切りバカを一緒にやりきった朋友今から40年近く前の学生時代、コミューン運動に興味があった私は、東京は目白の一軒家を友人達と借り切り、ジョンレノンのイマジンにある「Im...

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